先日ネットのニュースサイトで大阪の門真市にある中学校の保護者が、学校のPTAに対して損害賠償を求める裁判を起こしたというニュースを目にしました。
PTAの会費が飲食費などに相当額使われていることが領収証などから判明し、本来の目的以外での出費が多いのではないかと保護者がPTAを相手取り損害賠償を求める裁判を起こしたということでした。
PTAの集まりと、かこつけて焼肉や飲み屋で役員さんたちが談笑し親睦を深めるのはよくあることかと思います。そして、そこでの飲食代の領収証をきってもらい、PTAの会費から落とすようなことは全国の小中学校のPTAでは日常茶飯事なのではないかと・・・。
このニュースを目にして、これぐらいのことは大なり小なり全国のPTAではあるだろうと思っていたのですが、PTA会費や学校に集まる給食費、修学旅行の積立金などについて今回のようなトラブルって結構あるのだろうかとふと思った私。
それで、気になって少し調べてみたところ・・・
出るわ出るわ・・・学校のPTA会費の横領から、修学旅行の積立金や同窓会費の着服等々・・・それはあきれるほどの数でした。
これは、相当にまずいだろうと思った私はここ最近の学校関連のお金にまつわる不祥事をチェックしてその実態を調査してみることにしました。毎日のニュースでPTA会費の横領だ何だと記事が配信されてても単発では、なかなかその全体像が把握できないかと思います。
それで、まずはネットで確認できるものだけでも学校関連の金にまつわる不祥事について全国規模でチェックしてみることにしました。
今回の記事を読んでいただくと、その数があなたが想像されるよりもはるかにその数が多いことにきっと驚かれることかと思います。
【唖然】近年の小中高校、大学における金にまつわる不祥事
ということで、近年の全国の小中学校、高校および大学におけるお金にまつわる不祥事について調査してみました。
対象とした事例は、学校においてPTA会費や給食費などを教職員が「横領」、「着服」したり、「使途不明金」などが発覚したもので全国紙や地方紙でとりあげられたものとしました。
今回調査した中では、個人の方のブログや掲示板などで学校におけるお金にまつわる不祥事事例を掲載してるものもあったのですが、その情報の裏取りや真偽の判断が難しいものがあったので、新聞でとりあげられているものに限りピックアップしました。
調査の方法は、検索エンジンとGoogleニュースを使用して今現在検索にヒットしたものをひとつひとつ拾い上げる地道な方法をとりました。
そして、各事例については下記の項目を拾って列記しています。
①報道年月日
②発生都道府県
③発生場所
④該当者
⑤不祥事内容
⑥処分等
発生年の古い順に並べています。
【全国小中高校・大学での金銭不祥事】
2013年5月2日 兵庫県 姫路市飾磨工高 PTA経理担当女性(67歳) PTA等の会計約3千万と同窓会関連費約4千万円 経理担当者死亡
2014年10月31日 広島県 広島女学院 元会計担当者(80代) 使途不明金約1億円発覚 告訴
2015年6月1日 沖縄県 県内高校 元PTA会計担当(40代) 同窓会費約670万円使途不明 対処不明
2016年2月10日 大阪府 大阪市西区の小学校 小学校の男性校長(55) PTA会費約480万円横領 懲戒免職
2016年12月23日 島根県 雲南市立大東中学校 男性主事(22) PTA会費102万円横領 懲戒免職
2017年7月14日 京都府 私立立命館中高 女性契約職員(28) PTA会費横領 逮捕
2017年7月25日 兵庫県 宝塚市中学校 臨時職員男性(44) PTA会費横領や交通費の不正受給 懲戒免職
2018年1月26日 青森県 五所川原市青森職業能力開発短期大学校 元事務局職員男性(63) 同窓会の積立金約387万円を着服 業務上横領の疑いで逮捕
2018年3月30日 千葉県 県立印旛明誠高校 男性事務職員(21) 生徒会費計26万5838円を着服 懲戒免職
2018年4月21日 茨城県 高萩市小学校 女性事務職員(30代) 給食費約200万円着服
2018年4月23日 高知県 土佐市立戸波小学校 校長(60) 教職員団体の口座から約4800万円を着服 業務上横領容疑で告発
2018年4月26日 滋賀県 草津市立中学 臨時職員(40代) 修学旅行費等積立金843万円着服
2018年5月2日 静岡県 静岡市清水区私立中学 男性非常勤嘱託職員(20代) PTA会費や学年費約640万円横領 刑事告発
2018年5月8日 栃木県 県内小学校 男性事務職員(32) 教材費約271万円着服 懲戒免職
2018年5月9日 静岡県 県立高校 男性主査(50代) PTA会計約200万円横領 警察に告発・告訴
2018年5月9日 兵庫県 姫路市立小学校 男性教頭(53) 地域活動費約73万円横領 告訴
2018年5月17日 千葉県 野田市立福田第二小学校 男性事務職員(27) 積立金など104万円着服 懲戒免職
2018年5月23日 滋賀県 愛荘町町立秦荘西小学校 男性事務職員(21) 学校給食費688万円 刑事告訴を検討
2018年6月15日 静岡県 市立中学校 20代の男性非常勤嘱託職員 修学旅行積立金やPTA会費約710万円を着服 懲戒解雇
2018年6月24日 熊本県 熊本県立玉名工業高校 後援会職員(56) PTA会費横領 逮捕
2018年7月5日 青森県 五所川原市の小学校 女性事務職員(25) PTA会費535万円横領 懲戒免職
2018年7月18日 群馬県 県立館林高校 男性音楽教師(46) 領収証偽造により約630万円横領 懲戒免職
2018年8月2日 福岡県 福岡市早良区学校法人西南学院 事務局の管理職男性(50) 出張旅費等を二重取りして約1300万円を着服 諭旨退職
2018年8月8日 北海道 道立北斗高等支援学校 PTA会費約100万円横領 事務主任 懲戒免職
2018年9月15日 滋賀県 草津市立中学 女性臨時事務員(48) 修学旅行積立金約818万円横領 懲戒免職
2018年10月31日 熊本県 熊本市立の中学校 男性事務職員(25) 給食費や学年費約90万円不正引出し 懲戒解雇
以上、2013年から今年2018年11月現在までで私が確認できた事例は、全部で26件ありました。
一般的に新聞社のサイトやニュースサイトの特徴として少し古いニュース、情報はサイトから削除されるところが多いので古い情報は年をさかのぼるほど数が少なくなっていきます。
これらの事例、事件を見て私なりに分かったことや分析結果を次項から書いていきたいと思います。
事件が発覚するのは新年度始まって1~2ヶ月に集中している
昨年より古いデータが今回数件しか確認できなかったのですが、今年2018年に限って見てみるとある傾向に気づきました。
そのある傾向とは、新年度がスタートする4月以降の数ヶ月間に給食費や修学旅行の積立金、PTA会費の横領や着服が発覚しているということです。
これは新年度に入って経理などを担当する職員さんが入れ替わることにより、前任者やお金を出し入れできる人物が不正をはたらいていたことに新任の職員が気づくケースが多いことがあげられるのではないかと思います。
今年2018年の初頭から10月までの全国の学校におけるお金にまつわる不祥事件数は全部で19件でした。これを3ヶ月ごとの四半期ごとにカウントし、その割合を示したのが下のグラフになります。
<2018年四半期ごとの学校における金にまつわる不祥事件数とその割合>
上記の円グラフをごらんいただくと分かるように新年度がスタートする4月から6月までの四半期が割合でみると「57.9%」と6割近い数値になっていて、いかにこの時期が不祥事が明るみにでるのが多いかが一目瞭然です。
不祥事をはたらいた教職員の人物像
実際に不祥事が明るみに出て、PTA会費や給食費、修学旅行の積立金などを横領・着服した人物像に何か特徴があるのか探ってみました。
当然ですが一番多いのは事務担当者、いわゆる経理を担当してる常勤、非常勤の職員が多いです。
しかし、各事件の中身をチェックすると上は校長、教頭から一般の教師もいました。
共通するのは、集まった金を通帳を預かっていて引き出せたり、何か購入したりお金を使ったときに領収証を店側からもらえる立場にいたひとが圧倒的に多いです。
あと、年齢と性別ですがこちらもこれといった特徴はないようです。年齢は20代から60代まで(中には80代もいましたが)いて、男性と女性についてもデータを見るかぎりどちらが多いとはいえないと思います。
今回調査して思ったこと
今回学校におけるお金にまつわる不祥事に関して調査して思ったことは、以下の3つの点です。
①件数が想像以上に多い
②発覚までの期間が長期化してるものが多い
③お金の管理があまりに杜撰
この上記の3点はある意味全部つながっていて全ての元凶は③の杜撰な金銭管理にあるように思います。
管理がずさんなので、発生件数が多くなりまた管理している人物を信用しきった体制になっているので発覚までに時間がかかり、被害額が多額になるケースが増えているのではないかと思います。
学校における横領や着服事件への対処法
それで学校におけるお金にまつわる不祥事への対処法を少し考えてみました。
まずPTAの会費や給食費、修学旅行の積立金など多額のお金が集まるものに関しては管理する人物を1年おきとかに交代させるのが良いのではないでしょうか?
今回調査して分かったのが、学校におけるお金を管理する人物が長期間同じ担当についていたケースが多く、これがまず横領や着服の大きな原因になっているように思います。
あと、お金を集めて預けておく銀行口座の通帳を事務担当者などに渡さないというのも非常に重要なことだと思います。
一般の会社ではありえないことではないでしょうか?民間の中小企業であれば、経理担当者が会社の口座から通帳を使ってお金を自由に出し入れできるところなどまずないと思います。
これも日本人的な発想というか、事務担当者が学校のお金を横領などするはずがないといった性善説にもとずいた悪しき習慣なのではないでしょうか?
なので、PTA会費などを保管してる銀行口座の通帳は事務担当者が管理するのではないく学校の代表者である校長が一括して管理しておくのが良いのではないでしょうか?
しかし、これとて今回調査した中では、校長や教頭がこういったお金に手を出してしまっている事例があったので、定期的にきちんと保護者に対して収支報告をする必要があるかと思います。
その際に、お金の出入りが分かるように領収証の保管と、あと収支報告書と一緒に通帳のコピーなどを提出するようにすればお金にまつわる不祥事はかなり減ると私は思います。
というか、今現在の日本の学校におけるお金の管理はあまりにずさんすぎるように思います。
これはきっと今現在も全国の小中高校ではバレずに学校のお金、保護者・児童・生徒のお金を横領、着服してる人物が相当数いるのではないでしょうか?